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夕暮れの色が残る、電車の停まった日本の駅

FEELING ARCHIVE / ときめく

23:18 / ホーム · 秋

帰る時間になってから、話したいことが増える。

電車が来るたび、ふたりとも半歩だけ動く。

思い出すきっかけ駅のアナウンス

ホームに風が入ってきて、さっき買った温かい飲み物がもうぬるい。行き先表示を見た。次の電車には乗れる。なのに、ここに来て今日いちばんどうでもいい話をしている。

ホームの床には、急いで渡った白線の跡が光っていた。ベンチの下の自動販売機から低い音がしている。さっきまで並んで歩いていたのに、線路を向いた途端、二人の視線が別々の方向を向く。こういうとき、今日が終わることを急に意識する。時計を見たのは一回だけ。なのに、その時刻まで覚えている。

A SMALL SCENE / 創作会話

あなたあ、これ乗る電車だ。

相手うん。……そういえば、さっきの話の続きなんだけど。

あなた今する? 笑

相手今じゃなくてもいい。今度でも。

創作した会話です。実際の誰かの発言や作品の引用ではありません。

「今度」が、予定ではなく約束みたいに聞こえた。

夜の京都、明るいコンビニの前の静かな道路
記憶のあわいに、別の景色がある。PHOTO INTERLUDE

WHAT WAS DIFFERENT

あのとき、何が残ったんだろう。

『今度でも』と相手が言ったとき、自分の中で勝手に予定表が開いた気がした。次の週末、仕事のあと、また何かを食べに行く帰り道。実際には何一つ決まっていない。言葉は四文字なのに、そこから先を想像する時間だけが長い。電車に乗ったあとも、扉の向こうにいる相手へもう一度何か言いたくなった。

同じ言葉でも、何気ない社交辞令だったのかもしれない。それを気にして今すぐ答えを確かめるのは、たぶん今この瞬間にしたいことではなかった。確認しなかったからこそ、心の中に少し続きが残った。相手の表情だけで未来は読めないけれど、今日楽しかったという自分の気持ちは、あのホームに確かにあった。

WHY THIS STAYS

忘れられないのは、
こういうところ。

電車の到着音で話が切れたあと、相手が笑って手を振ってくれた。乗るかどうかはそれぞれ決められる。だからこそ「また」の一言が、帰り道に残る。

翌朝、路線図を見たときに思い出すのは、話しそびれた内容より、あの「今度でも」。

翌日、駅のホームで同じ到着チャイムが鳴った。昨日はここで、どうでもいい話の続きを聞いた。今日は知らない人ばかりが乗り込んでいく。昨日の温かい飲み物の銘柄も、話の細部も思い出せない。ひとつだけ、別れる直前の『今度』が妙にはっきりしていて、スマホに新しい通知がなくても口元が緩んだ。

記憶の断片改札の電子音秋 / ときめく

IN YOUR OWN STORY

もし、似た日が来たら。

楽しかったと感じたら、別れ際にひとつだけ伝える。「まだ話してたいくらい楽しかった」。次を約束するかは相手と相談すればいい。

ひとつだけ

帰宅時間や終電を犠牲にして引き止めない。名残惜しさと相手の意思は別のもの。

ホームの時計は、昨日と同じ速さで進んでいたはずだ。

MORE OF THIS FEELING / ときめく

ベッドの上に置かれたスマートフォンスマホの通知帰ったあとにも、同じことを思い出していた。夕方のホームに傾いたあたたかな光呼び方初めて下の名前で呼ばれた日、返事が遅れた。
次の瞬間へ

架空の場面。特定の実話・SNS投稿・映像作品を基にしていない。

イメージ写真: Our Latest Number / Unsplash。写真は創作された出来事そのものを撮影したものではありません。

気持ちから探し直す